【調査研究】営業職の30%は新商品の売上順位をさほど気にしない。営業職が大事にしているものとは?

 セールスに関する意識調査を実施しましたので、調査結果を報告します。


【要約】

 セールスに関する意識調査をインターネット調査にて行った。新商品を発売した際の、社内での売上順位目標の自己設定についての調査である。回答者数は57名であり、23名が営業職であった。全体での調査結果は、「是が非でもトップセールスを狙いに行く」が33.3%、「トップセールスでなくても良いが、上位には入れるように努力する」が35.1%、「下位でなければ良い」が1.8%、「順位はほとんど気にならない」が24.6%、「その他」が5.3%であった。営業職での調査結果は、「是が非でもトップセールスを狙いに行く」が26.1%、「トップセールスでなくても良いが、上位には入れるように努力する」が43.5%、「順位はほとんど気にならない」が30.4%であった。営業職での背景別集計において、管理職では50.0%が「是が非でもトップセールスを狙いに行く」と回答したのに対し、非管理職では「是が非でもトップセールスを狙いに行く」と回答したのは13.3%に過ぎず、「順位はほとんど気にならない」の40.0%を大きく下回る結果となった。「順位はほとんど気にならない」の回答理由として、社内での売上順位よりも顧客満足に焦点を置いているからという趣旨のものが多かった。


【調査を実施した背景】

 新商品の発売に当たり、上司から「当営業部(営業所)は社内No.1の売上を目指していく」いう号令が発せられ、その取り組みに従事した経験はないだろか。少なくとも私は、そのような経験を何度も経験している。そして、「社内No.1の売上を目指していく」という号令は発せられたものの、実質の活動がそれに連動していないと感じることが少なくなかった。そこには方針と価値観の間にずれが存在しているのではないかと感じていた。また、価値観のずれが存在しているのであれば、どのようなリード方法が効果的であるかのヒントを得たく当調査を実施した。


【調査の目的】

 新商品発売時に営業職が社内での売上順位についてどのような意識を有しているのかを知り、効果的なリード方法を模索する材料とする。


【調査方法】

 Google Formを使い、インターネット上にてアンケートを実施した。アンケートへの協力依頼は調査実施者がFacebook上に掲載する形で行った。アンケート調査は無記名で行い、回答者個人を特定することはできない。調査期間は2020年4月29日~5月5日の7日間である。

 アンケート調査の設問は、「あなたの勤める会社で新商品が発売されます。その新商品は社会的意義も大きいと考えられます。あなたはその新商品の社内での売上順位について、自身でどのような目標を設定されますか?」とした。当設問は、営業職向けの内容であるため、営業職以外の回答者には、営業職になったつもりで回答頂くよう依頼した。当設問の選択肢として、「是が非でもトップセールスを狙いに行く」「トップセールスでなくても良いが、上位には入れるように努力する」「下位でなければ良い」「順位はほとんど気にならない」「その他」を設定した(資料1)。尚、他の設問としてQ1では職種、Q2では役職、Q3では年齢、Q5ではQ4(当設問)での選択理由について回答頂いている。


<資料1>


【評価項目】

 主要評価項目及び副次評価項目として以下を設定し、評価することとした。

 主要評価項目:

  全体及び営業職におけるアンケート調査結果の分布

 副次評価項目:

  ①背景別のアンケート調査結果の分布(全体)

  ②営業職における役職・年齢別のアンケート調査結果の分布

  ③営業職における各選択の回答理由の傾向


【回答者の背景】

 当アンケートへの回答者数は57名であった。57名のうち、営業職は23名であった。営業職のうち、管理職が8名、非管理職が15名であった(資料2)。


*調査のリミテーションとして、回答者数が十分でない点があげられる。また、回答者背景の偏りもあげられる。回答者は、調査実施者と直接的・間接的な繋がりの有る者が殆どであると想定される。実際に、18名の回答者から、調査に協力頂いた旨の報告を個人的に受けている。18名の内、16名はMBAホルダーである。回答者は非常に多くのMBAホルダーで構成されている可能性が高いものと推察される。


【結果】

 主要評価項目としている全体での集計結果は、「是が非でもトップセールスを狙いに行く」が33.3%、「トップセールスでなくても良いが、上位には入れるように努力する」が35.1%、「下位でなければ良い」が1.8%、「順位はほとんど気にならない」が24.6%、「その他」が5.3%であった(資料3)。

 営業職の回答者での集計結果は、「是が非でもトップセールスを狙いに行く」が26.1%、「トップセールスでなくても良いが、上位には入れるように努力する」が43.5%、「順位はほとんど気にならない」が30.4%であった(資料4)。

 副次評価項目である「背景別のアンケート調査結果(全体)」の結果については、管理職では「是が非でもトップセールスを狙いに行く」が最も多く選択されていたのに対し、非管理職では、「是が非でもトップセールスを狙いに行く」「トップセールスでなくても良いが、上位には入れるように努力する」「順位はほとんど気にならない」の3つの回答数に大きな差はなかった。年齢別の集計においては、年齢が上がるほど「是が非でもトップセールスを狙いに行く」を選択する傾向が見られた(資料5)。

 営業職においても全体での背景別集計結果と同様に管理職で「是が非でもトップセールスを狙いに行く」が最も多く選択され、年齢の上昇と伴に「是が非でもトップセールスを狙いに行く」が選択される確率が高まった。しかしながら、非管理職では「是が非でもトップセールスを狙いに行く」の回答数は少なく、他の2つの選択肢の回答数が大きく上回る結果となった(資料6)。

 営業職では30.4%が「順位はほとんど気にならない」という回答であった。「順位はほとんど気にならない」を選択した理由として、社内での売上順位よりも顧客満足に焦点を置いているからという趣旨の回答が多かった(資料7)。



【結語】

 営業職の約70%は新商品発売時に社内でのトップセールス若しくは売上上位を目標として自己設定していることが分かった。一方で、約30%は社内での順位はさほど気にしていないことも分かった。順位を気にしない営業職の多くは、顧客満足度に重点を置いていることが分かった。順位を気にしない傾向は非管理職でより強く見られた。このことから新商品の発売プロジェクトをリードする際には営業部(所)としてNo.1を目指すという号令を単純に発するのではなく、顧客満足度を重視したリードが肝要になると言えるだろう。

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