【現場に学ぶ】燕三条「工場の祭典2025」見学レポート④
1. 燕三条が持つ「ものづくりの厚み」
新潟県燕三条地域で開催された「工場の祭典」に参加してきました。この地域は金属加工で有名ですが、今回は特に興味深かったプラスチック成形の現場、共和工業株式会社と三井化学さんの工場見学レポートをお届けします!但し、今回は写真撮影NGだったため、文章のみでご容赦下さい。
尚、「プラスチック成形」とは、熱で樹脂を溶かし、金型に流し込んで冷やし固める工程のことです。シンプルに見えますが、温度・圧力・時間をミクロン単位で制御する、まさに精密な技術の結晶です。
2. 圧倒的なスケール!巨大な成形設備に驚愕
工場の敷地に足を踏み入れてまず驚いたのは、その成形設備の巨大さでした。事前に調べてはいたものの、実際に目の前にすると、まるで建物の壁のような巨大な機械が並んでいる光景に圧倒されました。特に、今回見学させていただいた射出成形機とプレス成形機は、そのサイズから、非常に大型で複雑な製品、あるいは大量の部品を製造していることがうかがえました。また、その巨大さこそが、製造業の力強さ、そして高い技術力の証だと感じました。
3. モノづくりの核心:プラスチック成形の工程を深掘り!
今回の見学で最も興味深かった、射出成形とプレス成形のプロセスについて、詳しくご紹介します。
1) 射出成形(Injection Molding)
射出成形は、プラスチック製品の製造で最も一般的な方法の一つです。
①材料の投入と加熱溶解: まず、乾燥させたペレット状のプラスチック原料(樹脂)を、機械上部のホッパーから投入します。これがシリンダー内部のスクリューによって前方へ送られながら、ヒーターの熱とスクリューのせん断力によって均一に溶かされます。
②型締め(かたじめ): 溶融樹脂を射出する前に、金型をしっかりと閉じます。大きな成形機では、この型締め力が非常に重要で、樹脂を射出する圧力に負けないよう、桁違いの大きな力で金型を保持します。
③射出と保圧: 溶けた樹脂を、スクリューを押し出すことで、高圧で密閉された金型のキャビティ(空洞部分)に一気に注入します。その後、樹脂が冷えて固まる際に体積が収縮するのを防ぐため、一定時間保圧(圧力をかけ続けること)を行います。
④冷却と型開き: 樹脂が金型内で十分に冷えて固まったら、金型を開き、突き出しピンで製品を取り出します。
2)プレス成形(Compression Molding)
プレス成形は、熱硬化性樹脂や繊維強化プラスチック(FRP)などの成形によく用いられる手法です。
①材料の準備と投入: 粉末状、シート状、または塊状の原料を、加熱された金型のキャビティにセットします。
②加熱と加圧(プレス): 上下の金型を閉じ、巨大なプレス機械で高圧をかけながら加熱します。これにより原料が金型全体に行き渡り、化学反応を起こして硬化します。
③硬化と取り出し: 必要な硬化時間を経て、金型を開き製品を取り出します。
射出成形が高圧で流し込むのに対し、プレス成形は巨大な力で押し固めるというアプローチで、特に強度や耐熱性が求められる大型部品に使われることが多いそうです。
共和工業株式会社では、プラスチック成形した製品についても見せていただきました。驚きだったのは自動車の車体の多くが樹脂で創られているということです。車体=金属だと思い込んでいました。但し、車種によって、同じ部位の車体でも金属であったり、樹脂であったりと異なり、競合関係にあるようです。耐久性強化と軽量化の進化のせめぎ合いです。自動車以外にもこのようなせめぎ合いは多く存在するのだと思います。
燕三条の工場の皆さん、素晴らしい見学をありがとうございました!モノづくりの奥深さに触れる、刺激的な一日でした。
#工場の祭典
#共和工業株式会社
#三井化学
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